『法人による不動産経営の注意点』
〈土地賃貸方法〉
個人と法人の建物の売買について、
通常の第三者間取引であれば、
借地権部分について権利金の授受を
行うことになります。
しかし同族会社との間で権利金の収受
を行うことは、個人に課税関係が生じ
又権利金の額が高額になることから、
実際に行われているケースはまれです。
ところが権利金を授受せずに
建物の売買後、土地の賃貸借契約とした
場合には、借地権部分について
経済的利益の贈与があったものとして
贈与税が課税されてしまいます。
また権利金の授受をする代わりに
相当の地代(土地価額の6%相当額)を
支払う方法もありますが、
支払い地代が多額で支払いが困難になる
場合もあることから
あまり利用されていません。
一方、土地の賃貸借を使用貸借とした
場合には、土地の相続税評価額は
自用地評価となってしまいます。
そこで、実務上ベターな方法として、
通常の地代による賃貸借で、かつ
「土地の無償返還」方式を選択する
ことをお薦めします。
借地人である法人が将来その土地を
無償返還する旨を地主と借地人双方
連名の書面で地主の納税地の税務署長に
提出した場合には、会社に対して
借地権の認定課税は行われません。
なお無償返還の届け出をして地代の収受
を行っている土地(底地)の
相続税評価額はその土地の
自用地評価額の80%となります。
株主(出資者)を土地所有者以外の人に
しておくように工夫し、同族会社の
株式・出資の純資産価額の計算上、
土地所有者の財産の増加に影響が出ない
ようにすることも必要です。
最後に、不動産管理会社の究極の形は、
個人所有の不動産をすべて法人所有に
してしまうことです。
個人としては直接不動産を所有すること
はなく、会社の「株式」を所有します。
「株式」は長期にわたり贈与を少しずつ
移転をしていきます。