『法人による不動産経営の注意点』
〈所有方式〉
不動産管理法人を使った相続税対策で
最も効果の大きいのは所有方式である為
オーナー個人が所有する物件を法人に
売却することを検討します。
但し、土地の売買も伴うと資金や
税金の負担が大きくなる為、
建物のみを売買とするのが効率的です。
所得の分散を目的に所有方式とするわけ
ですから、高所得物件を法人所有と
すると効果的です。
ここで言う高所得物件とは、必ずしも
新しいモノという訳ではありません。
一般的に建物の築年数が経過すると、
借入金の利子や減価償却費等の費用が
減少して高収益となります。
古い貸家や古いアパートは時価もかなり
低額であることが予想されるため、
売買の資金負担も軽くて済みます。
反対に新築したばかりの物件は、
法人の買取り価格も高額になりますし、
減価償却など経費も多いことから、
個人所有の方が有利と考えます。
したがって、築年数が経過しており
借入の返済も終わっているような
貸家、アパート、貸倉庫、貸店舗などが
所有方式に適した物件であると言えます。
又、相続対策を考慮する必要がない方は、
新しい物件であっても法人所有とする
方がよいと思います。
土地については、法人名義にする時に
譲渡税が課されますので、
優先度は低いと言えます。
収益性の高い建物を中心に法人所有を
検討して下さい。
建物を売却するときの注意点ですが、
個人所有の建物を法人に売却する場合、
その売買金額の設定が税務上の
問題となります。
同族間での売買は意図的な価格設定が
可能な関係であると考えられることから
適正な時価の設定が求められます。
一方に有利な価格設定は贈与とみなされ
課税の問題が生じることがあります。
また建物売買により譲渡税が発生する
ことは少ないと思われますが、
登記費用と不動産取得税は
かかりますので、注意が必要です。