『土地を貸す:定期借地』〈借地権の変遷〉
資産活用は「売る・貸す・買う」
の3つですが、前回までは建築して貸す
とうテーマで、お話しをしてきました。
今回からは「土地を貸す」という
テーマで、お話しをしていきます。
まずは「借地権の変遷」についての
お話しから始めます。
戦前は「借地住まいと借家住まい」は
当たり前で、東京の下町では90%が
借地借家住まいであったとようです。
当時は、土地の所有にこだわらない
風潮があり、地主と借地人の関係も
おおらかでした。
よって、借地人は自分が住む家を
建て、資金の余裕ができると「借家を
たてて貸す」ことで、自己年金にして
いたようです。
「昭和16年の借地法借家法の改正」
で、借地借家のトラブルをめぐり、
戦後、多くの裁判が起こされました。
それは、借家は借家人の入れ替えが
起こりやすい狭小借家が多くなり、
借家人に家族が増えることや、
生活が豊かになれば、借家人の方から
自然に転居することが誘導されるような
借家になっていきました。
一方、借地は契約期間が満了しても
土地が戻ることがない制度となり、
返還してほしい時は、土地価格の
50%~90%の立退料を払わない
といけなくなりました。
このため戦後は新規の借地の供給が
ほとんどなくなりました。
戦後、都市への人口集積が進む中で、
「狭い借家で辛抱する」か、
「土地を買って家を建てる」かの
選択しかなくなっていました。
70年も前の話になりますが、
戦後の高度成長を支えた住宅建設の
伸びはこんなところが原点があります。