『土地を貸す:定期借地』
〈定期借地権の創設〉
やっと定期借地権の創設となりました。
戦後の地価の継続的な高騰は、
都市における住宅取得コストを
大幅に引き上げました。
都市部での宅地の需要は大きく、
社会性・経済性の実態に適応した
借地借家関係を整えるべきとの認識から
借地法・借家法の抜本的な見直しが
要請されることになりました。
昭和60年、法務大臣の諮問機関である
法制審議会が借地借家制度の改正問題
を取り上げることを決定し、
平成3年10月に現行の借地借家法が
公布され、翌平成4年8月に施行され、
ここに定期借地権が創設されました。
定期借地権の創設により、
貸した土地が必ず戻り、
期間満了時の立退料も必要なくなり、
地主が安心して土地を貸すことが
できるようになりました。
具体的には、定期借地権について
次の3つの特約を認めました。
① 契約の更新がない
定期借地権は、旧法借地と違い
契約の更新は一切なく、
確実に契約関係が終了する。
② 建替による借地期間の延長がない
旧法借地では、借地人が契約期間の
途中で建物を建替えた場合、
借地期間が建替えた時点から
再度リセットされて契約期間が伸びて
しまうという問題がありました。
定期借地権は、契約期間中に
建替えがあっても当初定めた
契約期間が満了すれば土地が
返ってくることになりました。
③建物買取請求権がない
旧法借地では、契約期間満了で
土地を返す条件として、借地人が
保有していた建物を地主に買取る
ことを請求できました。
定期借地権はこの建物買取請求が
できなくなり、基本のルールは、
借地人が建物を収去し土地を
原状回復して返還することになりました
戦後約40年以上経って、貸して
利用することがしやすくなりました。