『土地を貸す:定期借地』
〈旧法借地制度の問題点〉
旧法借地制度の問題点として
① 土地が返還されない問題
最大の問題は、正当事由制度と
法定更新制度によって契約関係が
更新されることで、半永久的に土地が
返還されないということにある。
② キャピタルゲインが借地人に
移転する問題
地主が土地の返還を求める場合に、
立退料を要求される問題があります。
借地権自体が事実上半永久的に継続する
資産的権利となったことから、
地価の継続的上昇によって生じる
土地の値上り益は、大半が借地人に
帰属することになりました。
借地権価格は住宅地では土地価格の
6割から7割、商業地では9割に達する
事例もありました。
土地の返還を求める場合には、権利の
金銭的補償として借地権価格相当の
立退料が要求されます。
戦後の地価上昇でその土地に生じた
キャピタルゲインの大半が借地人に
移転してしまうことになりました。
③ 地価上昇に見合う地代収入
が得られない問題
土地の返還は譲っても、地代を確実に
受け取ることができれば良いのですが、
実はそうでないケースが多かったのです
戦後の高度経済成長のもとで地価が
急上昇したのに、地代の値上げは
それに連動して上昇していません。
地価の上昇を理由に地主が地代の増額を
要求しても、借地人は周辺の地代が
上がっていないこと等を理由に、
相当と思う地代を供託します。
地主が地代値上げの裁判をしても、
裁判所は急激な地代の上昇を
抑制すべきとの判断から地主の
主張を認めなかったのです。
これでは土地を貸すことは、
所有者の裁量権がなくなってしまい
資産活用の大きな要素である貸す
ことに消極的になってしまいます。